私の3.11まんまるリレー ゆきえ


【私の3.11まんまるリレー〜佐藤幸恵〜】
昨日からスタートした、まんまる運営スタッフによるリレー連載。今日の担当は佐藤幸恵です。※以下、長文です。また震災当日の表現を含みます。被災の程度、内容を比べるものではありません。現在の、まんまる運営スタッフとしての気持ちを読んで頂けたらと思います。
震災当時、私は妊娠5ヶ月でした。岩手県北上市の職場で、それまで経験した事のない激しい揺れを感じました。「沿岸に津波警報、予想される高さは6m」。釜石に住む祖母の家は、急な坂道の上にありました。「なぁに、大丈夫。うちまで津波なんて来ない。もしそんな事があれば釜石は全滅だ。」地震の度にそう言っていた祖母を思い出し「そうだ、きっと大丈夫…」と自分に言い聞かせるしかありませんでした。
予想をはるかに超える津波が、坂道を遡って祖母の家に迫り、本当に釜石が壊滅状態になるなんて、その時は考えもしませんでした。
私が幼少期の7年間を過ごした釜石。友達の家、好きだったお店…多くの思い出の場所が失くなっていました。目の前に広がる景色は夢なのか、それとも、あの日々が夢だったのか。あまりの変わりように、涙すら出ませんでした。
さらに悲しかったのは、祖母たちが暮らす仮設住宅の環境でした。それまでの近所付き合いを失った、狭く不便な住宅での暮らし。「ここで子育てをしているママたちはどんなに大変なんだろう」被災したママたちの気持ちに、思いをめぐらせました。
あれから、もうすぐ5年。私は、まんまるのスタッフになり、沿岸サロンで提供されるお菓子を、ボランティアさんたちと一緒に作っています。
「念願だったはずの子育ては理想通りに上手くいかず、不安やイライラが募るばかり」そんな日々の中、私はまんまるサロンに出会いました。手作りのお菓子をいただきながら、お茶を飲み、助産師さんや他のママたちとおしゃべりをする。そんな何気ない時間に、私自身が救われてきました。
もし、かつての私と同じ気持ちのママがいたら、今度は私が力になりたい。私がしてもらったように、ホッと一息ついて、元気になってもらいたい。そんな思いで、お手伝いをさせてもらっています。
沿岸サロンへ向けたお菓子作りは、毎月多くのボランティアのママたちに支えられています。「何かお手伝いがしたい」というママ同士が協力し合い、皆さん楽しそうに作って下さいます。そして完成した、美味しいお菓子を食べる時、大人も子どもも、自然と笑顔がこぼれます。そんな時間のお手伝いが、これからもできたらと思っています。
たくさんのママたちに寄り添い、そして、たくさんのママたちに支えられている。そんな、まんまるの活動が、これからも息長く続きますように。皆様からの応援に感謝しながら頑張ります。どうぞよろしくお願いいたします。

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